アダムスコットとユニクロ戦略 KeyMaker 2013年4月19日 マスターズを優勝した、オーストラリア出身のアダム・スコット選手。 アメリカ、ネバダ州立大学 ラスベガス校の出身でPGAゴルフツアーで活躍しているプロゴルファーで、社会貢献にも積極的な選手だそうだ。 確かにテレビのインタビューなどを見ていると誰でもそう感じる、とても印象がいい選手だと思う。 そのアダムスコット選手が、2013年の4/1にユニクロと「ユニバーサルブランドアンバサダー」としてユニクロの製品を着用して広告し、ユニクロと一緒に社会貢献していくというアンバサダー活動をユニクロと契約していた。 契約直後の二週間後から始まったマスターズゴルフを優勝したことでユニクロの先見の明が評判になっている。 誰もがユニクロはすごいと感じていると思う。 テレビで話題になっていたのを見ても明らかだ。 しかし、ちょっと調べてみたらそんなことはなかった。 スコットと契約することはユニクロではなくてもどの企業でも実施できることだ。オーストラリアへアピールする目的があれば。 その理由は、ユニクロ戦略 1.オーストラリア戦略 ユニクロは世界戦略として、2014年までにはオーストラリアへ進出し出店する計画を持っている。 このためオーストラリアにゆかりのあるスポーツ選手や女優、俳優などを広告素材として獲得する必要性があった。 2012年の9月にこの計画が発表されたので、この時期から計画されていたと思われるが、具体的にアダムスコットが決まっていたとは思えない。 2.テニス以外のスポーツ すでにテニスプレーヤーのジョコビッチ選手、錦織選手、国枝選手らのテニスプレーヤーと契約しており、テニス以外のスポーツでオーストラリアにゆかりのある選手を探す必要があった。 テニスで広告しているポロシャツを他のスポーツで当てはめると、ゴルフがマーケットから考えてすぐに誰でも思いつくだろう。 テニスもゴルフも個人競技で本人に了解を得られれば企業側の製品を簡単に着てもらえる。 3.ゴルフでオーストラリア選手 マスターズの出場選手は、実力もあり人気もある選手が多い。 しかもマスターズ出場選手は前年の成績から2013年1月には決定されており、出場が決まった選手は誰一人として”出たくない”という選手はいない。 このためマスターズに出場するオーストラリア選手と契約するべきだと決定するのは、ゴルフが好きではない人間にも容易に想像がつく戦術だ。 4.選抜 マスターズ出場予定のゴルフ選手の成績は簡単に調べられる。 たとえば米Yahoo! SportsのPGAゴルフのデータベースから選手の成績や年齢体格、顔や容姿が簡単にわかる。 これによると、 アダム・スコット(Adam Scott) Born:7/16/80 College:UNLV Career Earnings:$37,855,983 ジョン・センデン(John Senden) Born:4/20/71 Career Earnings:$16,554,622 ジェイソン・デイ(Jason Day) Born:11/12/87 College:None Career Earnings:$12,436,527 マーク・リーシュマン(Marc Leishman) Born:10/24/83 Career Earnings:$7,229,000 (獲得賞金は現時点の成績) となっており、アダムスコットがダントツの実力があると、マスターズが始まる前に簡単にわかる。 しかも素行を調べなくてもネットでその好青年ぶりは伝わってくる。 マスターズの出場選手が決まってから検討しても、簡単にアダムスコットにたどり着く。 5.契約 契約が、マスターズ直前の4/1になったのは、2013年のマスターズ出場が決まってから交渉が始まったから当然遅くなったのだろうと想像がつく。 今後、テニスと同じようにゴルフ界でも、もう一人以上、男子か女子の選手と契約するかもしれない。 なぜ、ユニクロが成功したといえるのか? たまたまスコットが優勝しただけのこととは言い切れない。 ユニクロは、スコット選手に着るポロシャツの色を指定していたそうだ。 初日にはユニクロカラーの赤、最終日にはグリーンジャケットによく合う白を、着るように指定していたとのこと。 マスターズで優勝することを想定してのことだ。 このマスターズでスコットが優勝していなければ表に出てこなかったエピソードであるが、常に世界一になったとこを考えているユニクロの企業精神が読み取れる。 だぶん、どの選手と契約したとしてもこのような対応をしていることだろう。 ユニクロが確実に成功していたことは、オーストラリアに進出するという決意を持った事だ。 これにより、スコット選手が簡単に選びだされたし、別にマスターズで優勝しなくてもそこそこの成績は残せるのはわかっているので、オーストラリアへのアピール目的は容易に達成できる。 オーストラリアへ進出するというぶれない決意に、マスターズの優勝者と契約するというご褒美がもらえた結果だと思う。 ユニクロの目的通り、オーストラリアには格別のアピールとなった。 また、マスターズ優勝者と契約しているという日本へのアピールにもなった。